あなたも「もうひとつの扉」を開いてみませんか?
感想など、お気軽に書き込んでいって下さいね。
■
トップページへ戻る
Reload
投稿者
メール
題名
内容
<OBJECT>タグが利用可能です。
(詳細)
URL
[
ケータイで使う
] [
BBSティッカー
] [
書込み通知
] [
teacup.コミュニティ
] [
検索
]
投稿募集! スレッド一覧
スレッド作成
他のスレッドを探す
[PR]
派遣学生
不動産投資
岐阜の求人・転職
化粧品通販
[
teacup.
] [
無料掲示板
] [
プレミアム掲示板
] [
teacup.コミュニティ
] [
ブログ
] [
チャット
]
【From teacup.】この掲示板は投稿が一定期間無いため、各記事中に広告を表示しています。
全101件の内、新着の記事から10件ずつ表示します。
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
|
《前のページ
|
次のページ》
こんにちは☆
投稿者:
真
投稿日:2003年 7月 6日(日)12時25分41秒
以前一度だけ来たのですが、なんと3ヶ月ぶりに来ました。
ほとんど、みなさんだと思うのですが初めまして、よろしくおねがいします☆
昨日何でか分からないけど急に「六番目の小夜子」を見たくなり見てしまうと
ここに来たくなり、ここに来ました。
先に書き込みをしているのでまだ小説読んでませんが、
これが終ったら読みに行きたいと思います。
やっぱりいいですね、このドラマは。
昨日1日かけて全て見てたのですが、見終わってから鏡をのぞくと
目の周りは赤くなるは鼻水はでるわで大変な事になってました(笑)
これからもあのビデオは大事にしたいもんです(笑)
と、書きたいことばっかり書いてしまったのですが、これからも
寄らせてもらいたいと思います。では失礼します☆
これからも頑張って書いてくださいね^^
幼稚園風に感想
投稿者:
miyamo
投稿日:2003年 7月 4日(金)06時02分31秒
こんかいの、ふしぎなわか、その1、たくさんのひとのとくちょうがでていて、おもしろいぞ。なかでも、みぞぐち。
ろうにんだけど、おかまであきんどみたいだぞ。
れいちゃんもいいぞ。そりゃ、おなかもすくよね。
それに、ふしぎなわか?あんごうみたいなものか?
う〜ん、つづきがきになるぞ。がんばって、りゅう3さま!
(別にふざけている訳じゃ・・・漢字だらけに対抗してるわけでも・・・あ、物は投げないで。)
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 7月 4日(金)12時42分29秒
第五話 不思議な和歌
その一
明かりのない暗い廊下で、花房万阿は、錠の下ろされた襖にしがみつくようにしてささやき声で言う。
「鈴?きこえますか?気を強く持つのですよ。あなたに罪のないことは皆、知っています。実家の潮田屋にも知らせたし、ほどなくお許しの嘆願に来るでしょう・・・」
襖の向こうから、少女の声が返る。
「万阿さま・・・いまなんどきでしょう?もう、朝になるのかなあ、ここ真っ暗で何もわからない・・・ああ」
息絶え絶えの悲鳴のような呻きに、万阿は血相を変える。
「大丈夫ですか!?どうしたの!」
「お・・・お腹減ったよう」
万阿は、がく、と腰を落とし、怒ったような笑ったような顔になる。
「まったくあなたは・・・」
そのとき、万阿の耳に、遠く御殿の裏口で何かの騒ぎが起きているのが届いた。
「何かしら?鈴、しばらく待っていてね」
廊下を急ぎ足で進み、裏口へ向かう。奇妙な言葉使いの男の声がしていた。
「・・・わからない人たちねえ、あたしは、潮田屋さんのお使いとして、鈴お嬢ちゃんを迎えに来たのよ。さっさと取次ぎなさい。紹介状?知ったことじゃないわよ」
裏玄関の式台に、片足をかけた男は、単(ひとえ)の着流し姿だが、なんとその毛ずねに覗いている襦袢(じゅばん=和服の下着)は、真っ赤なおんな物だ。月代(さかやき=男の髪型の、毛を剃り挙げた部分)の毛を伸ばして、一見して浪人者とわかる。特に色白でもなく、頬骨の張ったどちらかというとごつい容貌だが、その女言葉の異様さに、取次ぎの侍や女中たちが辟易していた。勇を鼓して、中老(ちゅうろう=老女の次の位の奥女中)が居丈高に叫ぶ。
「控えよ、潮田屋の使いとやら。鈴は不始末をしでかしたので、沙汰の下るまで返すわけには参らぬ。しかもお前のようなわけのわからぬ使いを寄越すとは、潮田屋作兵衛にもお咎めがくだろうぞ」
「なめちゃ困るわねえ。この、溝口左京介(みぞぐち さきょうのすけ)、ご城下一の商人(あきんど)潮田屋さんから、大事なお嬢ちゃんを頼まれたからには、ハイ左様ですかと尻尾を巻けると思うの?」
溝口と名乗った浪人は、にやりと笑うと懐から、なにやら大層に書付を引っ張り出す。
「さあごろうじろ。これにあるは、奥にあって御権勢を誇られる美香の方様が、お召し物やお化粧道具の費用として潮田屋から用立てられた金子(きんす)の借用証文なり。もとよりお殿様にはご内聞のものなれど、いささか返済の期限が過ぎたれば、おおそれながらと藩のお役所に届け・・・」
「ま、待つがよい!!」
中老は狼狽しきって叫びを上げると、奥に駆け込んでいった。万阿はあっけにとられてみていたが、程なく戻ってきた中老の言葉にもっと驚く。
「鈴を宿下がりさせてもよい。ただし、その証文を破ればじゃが」
溝口は、予想していたらしく、けろりとした顔で答えた。
「全部はまかりませんねえ。半額に減らすということでどうかしら?」
朝日の中、由紀之丞は短い眠りから覚めて、昨夜のことを思い出している。
関根家から追い立てられるようにして出たあと、お供の若党(わかとう)中間(ちゅうげん)を従えた設楽は、唐沢家のある武家長屋の一角まで足を伸ばし、由紀之丞を送ってくれた。
「とにかく気をつけることだ。美香の方様と加藤一派は、沙世姫様と関根家をどうあっても討つ決意で策動している。ここ数日が勝負だ。それにしても、まずはあの不思議な和歌のなぞを解かなければなあ・・・」
編集済
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 7月 1日(火)00時27分26秒
第四話 江戸からの文
その四
関根邸の裏門付近に、人影がいくつかある。闇にまぎれて気配を消そうとしているようだが、その影たちからは凶暴な雰囲気が隠しきれずに滲んでいる。
「なぜ手筈通りに、小姓に接して押し入って、殺らぬのだ?」
「予想外の来客が居る。上士(じょうし=身分の高い侍)らしい。供の者も連れているようだ。関根の家族だけだったら、迷わず決行したのだが・・・おかしらに使いを出した。しばし指図を待て」
「こよい、御守殿で沙世姫を屠り、国家老関根一族郎党なで斬りにする。同時にやってこそ成功といえるのだろう?」
「ぐずぐずしていては機を失するぞ!由紀之丞が屋敷を出てしまえば、養子に出されたあやつが血迷って関根家に刃を向けたという偽装が出来なくなってしまうではないか」
「使いが戻るのを待て。万一にも手筈が狂うのは許されぬぞ」
武家町の道を、黒い風のように疾駆して来た影がある。影たちは期待のうめきを漏らしてそれを囲む。使者である影は、小声だが叩きつけるように言う。
「計画は、中止だ。おのおの、この場より目立たぬように散れ」
「なんと!」「なにゆえだ?」
「沙世姫謀殺は失敗した。こともあろうに関根の長男が毒見をしおったそうだ。倒れた長男の秋太郎は今、この屋敷で医者の診察を受けている」
影たちは驚きと狼狽の視線を交し合う。
「加えて、夕刻に江戸より公用文が届いた。家老の関根が目を通して、配下の者に新たな指図を出したらしい。今夜動くのはまずいと、おかしらの仰せだ」
「おのれ、命冥加な関根め」
影の一人がいらだって、切歯扼腕する。その拍子に腕がこすれあい、じゃらり、と金属の響きがした。どうやら鎖帷子(くさりかたびら)を着込んでいるらしかった。
「しかたがないのう・・・だが、問題はあの小姓だ。おかしらの名前とわれらが動きを、関根に伝えるのは確実だ。今宵討ち果たすにしくはないのだが」
「いや・・・どうやら江戸からの文で、われらの策動は知れたらしい。さあ、それぞれ別の道をたどって、ねぐらへもどれ」
鎖帷子を肌に着け、手甲やたすきでものものしく身支度したのを、長羽織で隠した影たちは、無念そうな荒々しい身ごなしで、関根邸から去った。
関根佳太夫は、五十三歳になるが、上背のある大柄な体格はたくましい。そのわりに表情は茫洋として、智者なのか愚かなのか一見してわからないところがある。由紀之丞もまた、父親である彼の気持ちがつかめない。
「父上、教えてくだされ。沙世姫様のお輿入れに際し、関根家が私服を肥やし、さらには魔性の姫をもって松次郎ぎみを亡き者にし、関根家がお家乗っ取りを企むと邪推しておるものがおります。よもやそのようなことはあるまいと思いますが、お家にとって不吉な名前の沙世姫様、さらには、尋常でないお人柄と噂のある姫様を、強いて松次郎ぎみのご正室にと願った理由は?」
由紀之丞は、正座した肘を強く張って、叫ぶように問いただす。佳太夫は、そのひたむきな視線をはずすと、懐から書状を取り出した。
「江戸から先ほど届いた文だ。秋太郎も設楽も、聞くがよい。先ごろ江戸藩邸から、国許に戻った者が、十三人ほど居るとの報告だ。その筆頭は、用人・加藤彦三郎。美香の方様からのお召しとの理由だそうだ」
編集済
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 6月28日(土)01時05分8秒
第四話 江戸からの文
その三
加藤の言葉に大きな衝撃を受けた由紀之丞は、飯島典膳に背中を押されて、よろめくように外に出た。
「どうした唐沢。先ほどわしと剣を交えたときの気迫はどうした?家まで送ってやろうか?・・・さて、おぬしが今夜行くのは、関根家、唐沢家、いずれかな」
嘲笑を含んだ典膳の声に、由紀之丞は気を取り直し、典膳に掴まれていた袖を振り払う。
「お気遣い無用です。馴れ馴れしい口をきかないでいただきたい。私はあなた方の徒党に組するつもりはありませぬ」
憤然と早足で歩き始めた由紀之丞の背中に、典膳はじっと視線を据え、やがて足音を忍ばせて跡を付け始めた。
由紀之丞は、加藤から聞かされた話を思い出しながら足を運んでいるうちに、関根家の門の前に来たことに気づく。ほとんど無意識の行動だった。闇の中に浮かぶ、見慣れた家構えが、今の彼には近づきがたい要塞のように見える。由紀之丞はためらい、嘆息した。そのとき、門の脇の長屋窓から、年老いた男の声がかかった。
「ユキお坊ちゃまではございませぬか?さあ、はようおあがりくださいませ。どこで秋太郎様のことをおききなすったんで?」
「兄上のこと?」
由紀之丞が聞き返したとき、声の主は、急いで門を開けに掛かっていた。白髪を小さな髷(まげ)にまとめた、関根家の下僕・草履取の六助である。玄関番も彼の仕事であった。
意を決して由紀之丞は、かつての我が家に上がる。腰の大刀を右手に下げ、廊下を進むと、話し声が聞こえてきた。
「あの美香の方と申す女狐、なんとも手ごわく、拙者は鼻であしらわれたわ」
「・・・設楽は、相変わらず粗忽だな。明日には多分、謹慎の沙汰が下るぞ」
大声で喋る設楽主水正の相手をしているのは、秋太郎だが、その声は異様にしわがれて小さい。思わず由紀之丞は足を速め、六助が襖を開けるのももどかしく名乗る。
「由紀之丞です。兄上、いかがなされたのですか!」
部屋に踏み込んだ由紀之丞は、兄が土気色の顔色で横臥し、枕元に医師が座っているのを知った。設楽が由紀之丞の驚く顔を見て、首をかしげる。
「由紀之丞、おまえ、どうして関根が沙世姫の食事をお毒見して、倒れたことを知ったのだ?事を荒立てるなと、関根自身が口止めをしてきたはずだが・・・」
由紀之丞は、設楽の言葉が半分しか耳に入らない。
「毒を盛られたと!兄上、しっかりしてくだされ!」
由紀之丞の必死のまなざしを受けて、医師がうなづく。
「毒を含んでいた桃はすぐ吐かれたとのことですし、意識もしっかりしておられる。今宵を乗り切ればまず、大丈夫でしょう」
由紀之丞は、秋太郎の近くに座り込み、涙の滲んできた両目をこぶしでごしごしとぬぐった。
秋太郎が、血の気のない唇を動かし、ささやく。すさまじく真剣なまなざしである。
「どこで、私が倒れたことを耳にした?殿のまわりまで話が漏れておるのか?」
「いえ、まったく存じませんでした。別のことで、父上と話がしたくて、押しかけたのです」
「そうか・・・それならばよい」
秋太郎は安堵したらしく、瞼を閉じたが、すぐに力を奮って言葉を続ける。
「由紀之丞、お前が頼りだ。沙世姫様をお守りするのだ。お世話役の設楽は無謀な行為をして多分お役御免となり、動きが取れなくなる。奥女中の鈴も、毒のお膳を運んだ罪をかぶせられ、奥の局(つぼね)に囚われた。沙世姫様は今、無防備で敵に囲まれておる。奥にも出入りできる小姓のお前が、なんとか、姫様を・・・」
秋太郎が震える手を伸ばしてきた。由紀之丞はしっかと握り締めたが、まだ頭は混乱している。その背中に、太く落ち着いた声が響いてきた。
「秋太郎、余計な心配をせず、養生に専念するがいい。由紀之丞、夜も更けている。早く唐沢の家に戻るのだ」
由紀之丞は振り返って、怒りと反発のまなざしを父親に向ける。しかしその目の奥には哀しみと甘えもあった。
−−−−−
>miyamoさん
ご感想、本当にありがとうございます!わし、単純なものでほめられると元気が出てバリバリ書いてしまいます。時代劇の知識はまだまだ勉強中で、生半可なものなのですが、とにかく面白いものを作りたいと頑張っているので、よろしく。
天守閣の感想など
投稿者:
miyamo
投稿日:2003年 6月27日(金)21時49分0秒
ここでは初めましてですね。天守閣の小夜姫毎回楽しみにしています。
美しく、凛々しくそして不吉な言い伝えに彩られた小夜姫。不思議な力をも持っている気配もあって正直、「かっこいい」と思ってしまいました。特に第1回目の
>ぽ、と蝋燭の火が点った。誰も火種を近づけたわけでもない。唐突に、自ら発火した。
少女は、その視線を、水平に移動させる。その先でまた、蝋燭が炎をあげた。また一本、さらにもう一本…少女のきらめく眼光が、並ぶ燭台に火を付けているとしか見えない。
このシーンなんかは「映像化したらさぞかしかっこよくなるだろうな」などと思ってしまいました。(私にはこういうかっこいいシーンというのはなかなか文章で表現できないから、単純に凄いなと思ってしまう。)
回を重ねるごとにいろいろな思惑が絡み合って話は盛り上がりを見せていく。美香の方の陰謀(?)や加藤や典膳の動向、由紀の丞の出方も気になりますし、それにおさよの伝説がどうからんでくるのか?花房万阿はその瞳の奥に何を見ているのか?ますますこれからの展開が楽しみです。
それにしても時代劇に出てくる言葉は難しい。これを書くにはそれ相応の知識がないと難しいだろうなって思います。さすが龍3さん!これからも頑張って連載続けて下さい。
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 6月24日(火)00時17分11秒
第四話 江戸からの文
その二
典膳に押さえつけられ、唇を噛んで座る由紀之丞に、加藤が膝を進めてきて、耳元で囁く。
「関根家から放り出されて無念だろう、由紀之丞。養子か婿に出るのは次男の宿命とは言っても、唐沢家は余りに格下だ。だが、これは天の配剤だったのかもしれぬ。関根家の悪逆の企みを防ぐことで、お前の無念も晴れ、唐沢家は栄えることが出来るぞ」
「なにをおっしゃっているのか、わかりかねまする」
「こたびの沙世姫の輿入れを、お前の実父・関根佳太夫が進めた事は知っておろう。津村家の裕福な懐を当てにして、持参金でわが藩の窮乏を救うとの理由だが、誰もそんなことは信じておらぬ。津村家からの金は、関根の私腹を肥やすに決まっておる」
加藤は怒りの表情で続ける。
「そればかりではない。沙世姫は、尋常の女性ではないのだ。なぜ、津村家が姫を、多額の持参金をつけて、格の下がる三崎家に嫁がせると思う?沙世姫は津村家に嫌われておるのだ。いや、恐れられておるのだ、魔性の姫と」
「うそでございましょう。あのように清らかで美しいお方が・・・信じませぬ!」
由紀之丞は呻いたが、声は不安と動揺に震える。
「関根はそれを承知で、縁談を進めた。恐るべき魂胆があるのだ。魔性の姫とめあわせて、松次郎ぎみのお命を縮める。そしてその跡には、関根の縁続きの側室が産んだ冬四郎どのを立てて、お家を乗っ取ろうと」
「やめてくだされ!そのようなたわけた話、聞きとうありませぬ!」
「いや、これが真実なのだ。由紀之丞、嘘だと思うなら、これからでも関根の家に行き、問いただしてみるが良い」
加藤はさりげなく言ったが、その口調には熱がこもっている。
「わしがおまえを待っていた理由は、なるべく穏やかに関根家の企みを諦めさせ、事を荒立てたくないからなのだ。お前の口から諭され、企みが既に多くの藩士に見抜かれていると知れば、関根も怯むだろう。わしは、心底、藩の行く末を思うからこそ、お前にそれを頼みたいのだ」
加藤は由紀之丞に向かって頭を下げる。思いもよらない成り行きに、由紀之丞は絶句した。
美香の方は、すぐに表情をつくろい、澄まして設楽に問いかける。
「その桃を、わらわが沙世姫に食べさせようとしたとでも?まったくあずかり知らぬことです」
「そのようなとぼけたことを!お膳を運んだ奥女中が証言いたしておりますぞ。台所に、美香の方様から沙世姫様へと、特別にこの桃が届いたと」
「台所へ運んだのは何者です?わらわの手の者か?どの女中じゃ?それとも下男のたぐいか?」
「それは・・・まだ、しかとは、確認をしておりませぬ」
設楽が唇を噛み、顔をゆがめる。美香の方の鋭い声が追い討ちをかける。
「無礼者!さようないい加減な調べで奥へ押し入ってまいったか!さがれ!」
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 6月22日(日)00時27分30秒
第四話 江戸からの文
その一
美香の方(みかのかた)の部屋は、西浜城の御殿中で最も華やかである。まだ正式にお世継ぎと決まっては居ないものの、ほぼそれに間違いない松次郎忠耕(ただやす)の母親として、彼女の奥向きにおける権勢はゆるぎないものとなっていた。藩主・上総介忠雄(かずさのすけただかつ)の正室は、子をなさないまま三年前に亡くなっているが、後添いをめとる気配もないのは、美香の方に上総介が遠慮しているためというもっぱらの噂だった。
大型の行灯を幾張りも並べ、惜しげなく灯心を掻き立てて明るくした部屋で、美香の方は長い煙管(きせる)を手にして、ゆっくりと煙を吐いた。
「静かじゃのう・・・長い夜になりそうじゃ。沙世姫にとっては、最後の夜か・・・ふふ」
美香の方は、理知的な美貌に微笑を浮かべる。三十歳になってもその美しさに衰えはない。もともと彼女は江戸の蘭学者の娘だった。その怜悧さと江戸育ちらしい勝気なきっぷのよさは、大名の姫君出身の正室や、藩士の娘である側室たちにはない魅力で、上総介をひきつけたらしい。
「しかし、お方様は、六番目のおさよが、怖くはございませぬのか?」
美香の方の煙管の灰を落としながら、声を潜めるのは側近の奥女中、千夏である。
「おさよ?下らぬ言い伝えに過ぎぬわ。あたしには、亡霊も迷信も恐れるに足りない。でも、役には立つのよ。鼻持ちならぬ花嫁御寮と、あたしを目の仇にする家老関根一派を、これでまとめて地獄に落とせる。可愛い松次郎のためと思えば、あたしは夜叉にもなれるわ」
きっぱりと言い放った美香の方の表情は、少しの後ろ暗さもなく澄んでいた。美香の方より十歳ほど年長に見える千夏だが、見上げる視線は気弱な少女のように怯えている。
「それにしても、お方様・・・沙世姫さまの御守殿では、まだ何も起きていないようです。夕餉の時刻もとうに過ぎましたのに・・・」
千夏がそうつぶやいた時、廊下の向こうから荒々しい足音が聞こえ、制止する奥女中の声が起こった。
「許しもなく、奥に足を踏み入れようとは、何たる痴れ者。乱心いたしておるのか」
答える足音の主は、ガラガラした若い男の声で呼ばわる。
「通常の礼儀などかまっておれぬ一大事だ。即刻美香の方様にお目通りいたしたい。この設楽主水正(しだら もんどのしょう)、沙世姫様お世話役の役儀に賭けて、まかり通るぞ!」
顔色を変えた千夏と対照的に、美香の方は、生き生きと瞳を輝かせて微笑した。
「かまいませぬ、主水正とやらを、部屋に通すがいい」
目が細く、色浅黒く無骨な風貌だが、設楽はまだ二十歳前後と見える若さだ。室内に入るなり、立ったまま、美香の方に右手に握った桃を突きつける。
「美香の方様、沙世姫様に毒を盛ろうとは、言語道断のなされよう。どう申し開きなされるおつもりか!」
語気荒く迫る設楽に、美香の方は冷静そのものの声で逆に問いかける。
「毒?沙世姫がどうかなされたのかえ?その桃を食してはかなくなられたのか?」
「姫様はご無事でござる。毒見をした関根秋太郎が倒れ申した」
千夏が蒼白になり、畳に手を突いて体を支える。美香の方の眉間に深い縦皺が刻まれ、怜悧な瞳に激しい怒りの色が走った。
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 6月20日(金)13時25分43秒
第三話 闇の中の敵
その四
由紀之丞が強引に連れ込まれたのは、城下の武家屋敷町から少し離れた、町屋のひとつだった。家の主は町人の若い女で、どうやら飯島典膳の懇意の者らしい。
典膳は二十五歳ほどになるだろうか。藩の公認剣術道場で師範代を勤める腕利きであったが、一年ほど前に江戸勤番になると道場を辞めていた。しかし、袴もつけずに出歩き、町に女を囲っている崩れた様子といい、無頼のように由紀之丞に切りかかってきたすさんだ振る舞いといい、青年らしい明るい活気に満ちていた師範代時代とは別人のようである。
座敷に男たちが座ると、女がすぐに酒を持って現れた。
「さがっていろ、お容。内密の話だ」
典膳がそういって女を遠ざけると、加藤彦三郎は無表情な顔ににたりと笑みを浮かべる。
「いい女だな、典膳。女性の目利きのほうが、刀の鑑定よりも確かではないか」
典膳は苦笑しながら、自分の大刀を抜いてみせる。由紀之丞の斬りこみを受けた鍔元の刃が欠けて、鋸のようだ。額に刺さった刃の欠片はすぐに抜き去り、血止めも施して傷は目立たない。
「無銘ながら応永備前の優れもの、と思うておりましたが、由紀之丞の刀に負けましたな」
「由紀之丞の差料(身につけている刀のこと)は、名のあるものか?」
加藤が尋ねるが、由紀之丞は硬い表情を崩さない。
「わたくし相手に、刀談義をなさるつもりで待ち伏せされたのではありますまい。ご用件を伺いたく存じます」
加藤の表情が仮面のように冷たくなり、細い目が光る。
「殿が気に入っているという、その剛直な気性はさすがだな。だから殿は前髪を落とすのを許さず、いまだにお前を小姓に召し使っているというわけだ。だが、一カ月前、お前は五百石知行の家老職関根家から、蔵米取りわずか十俵で無役の唐沢家の養子になった。養父の多四郎は、町人の迷い猫探しなどを請け負って内職をしておる藩の笑いもの。お前の小姓の俸禄で食いつないでいる始末ではないか」
「わが唐沢家への侮辱は許しませぬぞ!」
由紀之丞の顔面が朱に染まり、握り締めたこぶしが震える。
「そういきり立つでない。その唐沢家に、栄達の道を開いてやろうと思うのだ。どうだ、由紀之丞、わしの指示に従い、この西浜藩に降りかかっている災いを取り除くために、その剣を振るう気はないか?」
思いもかけぬ言葉に、由紀之丞は戸惑う。
「災いとは、いったい何のことです?」
「不吉な名前を持ち、嵐とともにやってきた魔性の姫、六番めのおさよのことじゃ」
加藤のまばたきをしない目が、由紀之丞には蛇のように感じられた。肌寒さを感じ、ひるんだ由紀之丞だが、脳裏に浮かんだ沙世姫の面影が、胸を熱くさせる。
「沙世姫様をそのように呼ぶのは無礼のきわみ!・・・よもや、姫様の行列に、領民が不敬な言葉を吐くように仕向けたのは、貴方様か?」
立ち上がろうとする由紀之丞の肩を、典膳がわしづかみにして座らせる。
「わめくな小僧。お前は何も知らぬのだ。加藤様の話をじっくりと聞け!」
天守閣の小夜姫つづき
投稿者:
龍3
投稿日:2003年 6月20日(金)00時06分52秒
第三話 闇の中の敵
その三
由利江が、腰軽く立って襖を開ける。三人の奥女中が膳を捧げ持ってくる。秋太郎は不審に思って由利江に問いかけた。
「ご老女、沙世姫様に付いて来られたお女中は、よもや貴方お一人でござるか?」
膳を置く位置を指示していた由利江は、とっさに曖昧な笑顔になるが、沙世姫が代わりに答えた。
「身の回りのことなど、由利江が居れば足ります。それに、わたくしを恐れずに付いてきてくれる者など、津村の屋敷には誰も・・・」
「姫様!無用のことを口外なさいますな!」
強い口調で叱責した由利江は、奥女中たちに下がるように命じた。だが、一人下がらずにかしこまっている娘がいる。
「沙世姫様のお世話をするよう、言いつけられました。鈴と申します」
肉付きよく肩の張ったからだを縮めるようにしている鈴を前に、沙世姫は静かに言った。
「わたくしには必要ありません。れいとやら、給仕はさし許します。それが済んだら戻りなさい」
鈴は顔を上げ、明るい笑みを浮かべる。
「はい!でも、お布団を敷くのに来ていいですか」
「まあまあ、元気のいい娘だこと」
由利江は、鈴に好感を持ったらしく、間近に座るように命じた。
秋太郎は話を切り上げて辞去しようと思ったのか、事務的な口調になる。
「では沙世姫様、明日には松次郎ぎみ、上総介様とのご対面が待っております。ゆっくりと夕餉を召し上がり、お休みくださいますよう」
「待ちなさい。まだ聞きたいことがあります。鈴、秋太郎の膳も持ってまいれ」
断固とした沙世姫の声に、鈴は弾かれたように立ち上がり、小走りに去る。秋太郎は唖然とした。
「沙世姫様、それがしごとき臣下がご相伴に預かるなどと、許されませぬ」
「よい、そちは家老の跡継ぎと聞く。わたくしを三崎家に迎えようとはかったは、そちの父、関根佳太夫であろう。その真意を問いたい」
秋太郎は口をつぐみ、目を畳に落とす。濃い眉の下で、瞳に苦渋の色が滲む。
しばし沈黙の時が流れた。やがて、秋太郎は呻くように言った
「真意と、申されますか。三崎家の繁栄を願う一心、では納得されませぬか?」
「聞きたいのは、三崎家にとって不吉な名前を持つわたくしを、あえて選んだ理由です。持参金が目当てだから、縁起などは無視したというわけですか?」
「姫様、そのようなことを問うても、せん無いことです」
由利江が話に割って入ったとき、鈴の声がした。
「秋太郎様のお膳を持ってまいりました」
秋太郎の前に置かれた膳の料理は、沙世姫のものとほとんど変わりがない。
「えへ、急なお申し付けだったから、姫様にお作りした分の残りをそのまま盛りました」
鈴が笑顔でご飯を茶碗によそい、沙世姫と由利江、秋太郎と三つの膳に置く。由利江はわざとらしい明るい声を上げる。
「ささ、姫様。ここでの初めてのお食事ですわ。吸い物が冷めまする。はよう召し上がりませ」
秋太郎は、じっと膳を見つめていたが、急に沙世姫をまっすぐに見て言った。
「持参金目当てと申されると、胸が痛みまする。その算段がないとは申せませぬ。代わりに、われら関根家一党は、沙世姫様を身命賭してお守り申し上げます」
驚いて目を丸くした女たち三人の前で、秋太郎は立ち上がり、自分の膳と沙世姫の膳を交換した。
「なにをなさいます、秋太郎殿」
とがめる由利江に、秋太郎は決然と言った。
「それがしの沙世姫様への忠節の証に、まず、このお食事の毒見をいたします」
箸を取り、料理を口に運び始めた秋太郎を、言葉もなく沙世姫は見つめている。すべての皿や椀のものを、一口ずつ食べた秋太郎は、最後に、木皿に置かれた桃を手にした。
「これは、沙世姫様の膳にしかないが・・・」
鈴がすまなさそうに答える。
「姫様がお疲れでしょうからと、特に美香の方様が下されたもので、ひとつしかなかったのです」
秋太郎は、脇差の鍔に差してある小柄を抜くと、桃から小片を切り取り、口に運んだ。噛むにしたがって、顔が歪んだ。懐紙を抜き出し、吐き出す。沙世姫が目を見張り、由利江が険しい表情になる。
「よもや、毒が!」
秋太郎は歯を食いしばりながら頷いた。その顔がみるみる土気色になってゆく。
以上は、新着順91番目から100番目までの記事です。
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
|
《前のページ
|
次のページ》
/11
新着順
投稿順